tsurusoの小説

鶴海蒼悠のSF小説

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

星霜に棲むという覚悟〜Time Without End〜

第3話 他人を演じる 1973年6月29日 早朝 僕の意識が他人の意識を押し出した。少年にすれば、誰かが体内に無断で入ってきて全ての知覚を奪い去ったようなものだろう。少年の意識体は今頃どこにあるのだろうか? 考えただけでも怖くなる。想像すらしなかった惨…

星霜に棲むという覚悟〜Time Without End〜

第2話 SONY CF-1450 1973年6月29日 薄明 無造作に置かれたカバンには、中学1年の教科書やノートが数冊、そして筆記用具が入っていた。教科書とノートには、『1年4組 摩耶浩之』と書いてある。そうか、まやひろゆき。その名を頭の中で復唱した。 卓上カレン…

星霜に棲むという覚悟〜Time Without End〜

第1話 時空を超えた夜 1973年6月29日 未明 ほのかに漂う匂いは何処かで嗅いだことのある香りだった。ゆっくりと鼻をかすめていくと、深い闇の中に沈んでいた感覚と意識が刺激された・・・・・・僕は覚醒した。そしてゆっくりとベッドから起き上がった。 『此処はど…