tsurusoの小説

鶴海蒼悠のSF小説

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

星霜に棲むという覚悟〜Time Without End〜

第12話 ピエリス文庫 1973年7月24日 火曜 少年の父親が昨日の夜に戻って来た。昨日でちょうど1週間になる。11歳になる少年の弟は 「今回は早く帰って来たなぁ」とつぶやいていた。だからそういうことらしい。父親は普段と変わらない朝だと言わんばかりに、少…

星霜に棲むという覚悟〜Time Without End〜

第11話 古典コンピュータ 1973年7月20日 金曜 いよいよ明日から夏休みに入る。終業式のあとに学級活動があって、通知表が配られると1学期は終了になる。少年の父親は依然として家出をしたままで、僕は少年の母親に「もう二度としません、ごめんなさい」と、…

星霜に棲むという覚悟〜Time Without End〜

第10話 家出人 1973年7月17日 火曜 少年の母親が玄関の中で怒りに震えていた。僕が不正行為を疑われているからだった。午後遅くに学校から電話があって、母親は急いで野々村先生を訪ねたそうだ。そしてテストの顛末について説明を受けた。彼女は恥をかかされ…

星霜に棲むという覚悟〜Time Without End〜

第9話 タイムリーパー 1973年7月16日 月曜 今週から生活リズムを変えることにした。帰宅して夕食と入浴を済ませると直ぐに就寝する。深夜2時に起きたら朝まで勉強する。きっかけは在日米軍向けのFENを毎日聴きたいという思いからだった。それでも近くの基地…

星霜に棲むという覚悟~Time Without End~

第8話 クリティカルエラー 1973年7月11日 水曜 今日も朝から雲ひとつない青空が広がる。「7月4日には梅雨明けしていました」と居間のテレビから聞こえてきた。これは例年に比べるとかなり早いらしい。 教室は小高い丘の上に建つ校舎の3階にあるから見晴らし…